「リスクシェアリングの時代へ」(2014年7月11日更新)

「リスクシェアリングの時代へ」

(2014年7月11日掲載)

国の責任は?

財務省は、2013年8月に『国の借金』 残高が1,008兆6,281億円になったと発表しました。国民1人当たり792万円の負債を背負っていることになるとの発表です。

え?なぜ国民一人当たりで割るの?
私は違和感を覚えました。赤ん坊から寝たきりになった高齢者の方々まで含めて、働いて税金を納めて約800万円の借金を返しましょうということなのでしょうか? 国の借金1,008兆6,281億円を国会議員722名で割ると、一人当たり約1兆4,000億円。これに地方自治体議員を含めると、一人当たり約273億円。公務員一人当たりだと3億円になります。

分母とする属性 1人当たり負債額
国会議員 約1兆4千億円
国会議員・地方自治体議員 約273億円
公務員 約3億円
国民 約8百万円

※表の注釈は文末に記載しています。

政府の借金は、政府代表として舵取りをしている国会議員の責任と考える方が、常識的だと思うのは、私だけでしょうか?足らなければ税収を増やせばよいという単純な議論には違和感があります。

企業は、債務に対する責任を果たすため日々努力しています。支払わなければ法的責任を含む社会的責任を負わされます。やはり、借金を国民に責任転嫁するのは、卑怯だと思います。しかし、卑怯だと連呼しても、予算を減らしたら社会保障も減ると政府から言われ、「それは困る。」というのが現在の社会のように思えます。

出産、育児、教育、医療、介護、葬儀等の社会のセーフティネットの仕組みは、お金が無いと作れないのでしょうか?衣食住、資源、エネルギー等のリスクは個々人の力では避けることができないのでしょうか?お金がないと、人間の尊厳は守られないのでしょうか?

共同体によるリスクシェアリング

私は、「共同体」で出産、育児、教育、医療、介護、葬儀、衣食住、資源、エネルギー等についてのリスクをシェアできると考えています。共同体の個々人がリスクの20から80%を可能な範囲で担保しあいます。共同体全体で60%のリスクがシェア出来て、個人の責任範囲が40%になれば、生きるための不安は大幅に削減されると考えます。

140629_shinrainodenbata.JPG今年、京都市右京区京北地域にある畑で、有志16人が集まって60種類の野菜作りに挑戦しはじめました。農業を現金取得の手段ではなく、豊かな生活に取り込めないか?という挑戦です。(先日農作業に集まった方々の集合写真)

昔と違い移動が容易になった時代のライフスタイルとして、共感出来る仲間が集まり、安心安全な作り方で協力して食糧を作れば、野菜だけでも100種類以上を手にすることが可能です。仲間と月一回海や川で釣りをすれば、動物性たんぱく質も手に入ります。

この場合の費用は、食費でなく活動費≒ライフスタイルコストになり、食糧と共に人間関係も手に入ります。このように食糧以外のものもリスクシェアリング出来れば、税金の必要性はもっと少なくなり、公務員や議員も少なくてすみ、生活現場が活性化される社会になると思います。

アミタグループは、このような共感する仲間との「場」を作るため、旧京都本社の京町家を「風伝館」と名付け、コミュニティスペースとして開放し、「新しい社会をつくる風」を起こしたいと思います。

「国には、責任がない。あるのは国家である。ならば、新しい国家の設計を考える国民になるしかない。」

未来の設計者たち、今こそ共に行動しましょう!

アミタグループは7月5日に旧京町屋本社を風伝館としてリニューアルOPENしました。

2014年7月11日
アミタホールディングス株式会社
代表取締役会長兼社長 熊野英介

注:議員数等表中の数字は2013年(平成25年)のものを根拠としています。

会長メッセージ


amita15.jpg

※2013年3月11日より、会長・熊野の思考と哲学を綴った『思考するカンパニー』(増補版)が、電子書籍で公開されています。ぜひ、ご覧ください。

※啐啄同時(そったくどうじ)とは

 鳥の卵が孵化するときに、雛が内側から殻をつつくことを「啐(そつ)」といい、これに応じて、母鳥が外から殻をつついて助けることを「啄(たく)」という。 雛と母鳥が力を合わせ、卵の殻を破り誕生となる。この共同作業を啐啄といい、転じて「機を得て両者が応じあうこと」、「逸してはならない好機」を意味する ようになった。

 このコラムの名称は、未来の子どもたちの尊厳を守るという意思を持って未来から現代に向けて私たちが「啐」をし、現代から未来に向けて志ある社会が「啄」をすることで、持続可能社会が実現される、ということを表現しています。