「前へ」 (2016年1月1日更新)

「前へ」

明けましておめでとうございます。
干支の十二支は農作物の成長過程を表すことがあります。
申年は、草木が伸びきり果実が成熟して固まって行く状態、つまり今まで行ってきたことが実を結んでいくという時期にあたるそうです。

昨年は、フォルクスワーゲンのCO2排出量偽装やパキスタンのバッグ製造工場倒壊をはじめ企業姿勢が問われた年でした。また、イスラム国によるパリ同時多発テロやロシア旅客機墜落事故、シリア難民問題などの問題が相次ぎ、現在の社会秩序が壊れ、新しい秩序が求められた年でもありました。

今、政府や企業は「強さ」をどのように考えるかを問われています。
個人の尊厳獲得に向けて、自由な意志を集めて増幅させるのが組織の力です。現在、世界の多くの政府や企業といった組織は、発展すればするほど暴力性を増し、社会への信頼を低下させています。組織の強さと不信とが比例する社会が生まれています。
現状の社会には、強いものが弱いものを守るという、新しい秩序をもった「本当の意味での強さ」が必要だと感じます。

現状の社会に対する不安のバロメーターとなっているものは、貧困問題より格差問題です。
そして、格差問題の背景にあるものが、経済問題と政治問題です。
さらに経済問題や政治問題の背景にあるものが、哲学的問題です。
よく働き、よく学べば幸せになるという価値感そのものが今問われています。

不安、というものについて、もう少し考えてみましょう。
脳は、現状の不安や悩みを解決することに反応する特性をもっています。
時代の変化が早い現代において「現在」はまたたく間に過去になってしまいます。つまり現在の不安を頑張って解決したとしても、解決した時点でそれは過去の不安を解決したことになり、次なる「現在の不安」が出てきます。そして我々はいつまでたっても不安がなくならないことに焦燥感を覚え、最期には絶望してしまうのです。
しかしながら、実は人間は、この無くならない不安を解決する方法を本能で知っているのです。人間は、生まれてすぐに歩き出す動物と違い、子どもを未熟な状態で生み、つきっきりで育てます。そんな人間の母親にとって、出産とそれに続く育児はとても不安なものなのです。しかし、多くの母親は、子どもが生まれ育っていく未来を想い、不安を上回る希望と喜びを胸に、新たな命を育みます。この未来を想う心の強さこそが、不安を力に変えるすべなのだと私は思います。現状の焦りや不安に振り回されることなく、明日や未来への希望を心に入れること。既存の強さの意味と価値観を見直し、目線を少し「前へ」向けることが、今求められています。この「前へ」という願いの積み重ねが、この世に新たな秩序を生み出す「持続可能な社会」の創造へつながっていくのだと思います。

人類の尊厳や生命の尊厳は、近代システムの誤作動による理不尽や不合理を受けて傷つけられてきました。2016年申年、それらを修復し、失敗から学び、成功への果実の結実となる新秩序の幕開けにしたいものです。

包括的資源循環システムのプロトタイプとなる南三陸モデル。100%リサイクルを行う海外初の台湾の循環資源製造所。企業の持続性を高める環境戦略支援事業。
申年がフロンティア開拓を占うように、アミタは社会の未来を描く「未来デザイン企業」として、新しい秩序求める時代における事業を全力で進めていきます。


2016年1月1日
アミタホールディングス株式会社
代表取締役 熊野英介