アミタHD、「デジタル製品パスポート(DPP)」のシミュレーションに参画
-もの・情報・気持ちが循環する、トレーサビリティシステムの構築を目指す-

アミタホールディングス株式会社(以下、アミタ)は、2023年5月15日から約4か月間、国内では先進的な「デジタル製品パスポート(以下、DPP)」に関する実証実験に参画します。本取り組みは、アミタが代表幹事を務めるジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(以下、J-CEP(*1))のプロジェクトの一環として行われるもので、オランダのサーキュライズ社が提供するトレーサビリティシステムを用いて、再生プラスチック製品のDPPのシミュレーションに取り組みます。本実証を通して、アミタは独自に開発を進める「製品や素材が人々の暮らし・社会に与える好影響=社会的な価値」を証明するDPPの作成に向けた、知見獲得・応用を目指します。

1. 「デジタル製品パスポート」の概要

サーキュラーエコノミーの実現に向けて、EUでは2022年より「デジタル製品パスポート(DPP)」の市場導入および法制化が進められています。DPPとは、ブロックチェーンなどのデジタル技術を用いて、原料調達から再資源化・再製品化に至るまで、製品のライフサイクルに沿ったサステナビリティ情報(再生材含有率、CO2排出量、リサイクル情報、耐久性など)を共有する仕組みです。DPPは製品の持続可能性を証明し、環境リスクの低減に貢献するものとして注目が高まっています。今後は日本においても市場への導入が進められるとみられ、DPPへの対応やサプライチェーン全体に渡る情報収集、管理、開示などができる情報プラットフォームの構築が求められます。

2. 本取り組みの概要

目的

上記の状況を鑑み、アミタが代表幹事を務めるJ-CEPは2023年3月に「デジタル製品パスポート研究会」を立ち上げました。本研究会は、J-CEP会員かつ研究会メンバーである丸紅株式会社(以下、丸紅)の提案をうけ、2023年5月15日より約4か月間、DPPの日本市場導入を見据えた企業対応のシミュレーションを行います。

本シミュレーションでは、丸紅の業務提携先であるオランダのサーキュライズ社がEUで提供するトレーサビリティシステムを用いて、回収された使用済の資源が実際に製品として再生されるまでのプロセスを追跡し、資源に付随するサステナビリティ情報の見える化を行います。また、システム運用上の課題把握やシステム間の連携模索等を行い、いまだ概念的であるDPPに対する具体的イメージを共有することで、J-CEPとして日本市場でのDPPの社会実装に向けた提言を行うなど、サーキュラーエコノミーの推進を目指します。アミタは、当社が提供する「MEGURU STATION®」を含む互助共助コミュニティ型資源回収ステーションで回収したペットボトルキャップを再生プラスチック製品の原材料として供給するなどの役割を担います。

内容

概要 サーキュライズ社のシステムを用いて、アミタが提供するMEGURU STATION®を含む互助共助コミュニティ型資源回収ステーションで回収されたペットボトルキャップがプラスチック製品に再生されるまでの製品ライフサイクルを追跡し、DPPを作成する
期間 2023年5~9月
プログラム ① サーキュライズ社のシステムへの情報入力
② キックオフミーティング:
 プロジェクトのスコープ決定、本プロジェクトへの要望ヒアリング
③ 隔週のミーティング:
 プロジェクト進捗状況の確認。要望や質問の確認。
④ ワークショップ:
 【テーマ1】
  DPP におけるトレンド、利用例、欧州での法制度。
  リサイクルプラの欧州利用例
 【テーマ2】
  ブロックチェーンの基礎知識。
  Smart Questioning の説明。
⑤ システム説明及びトレーニング:
 システムの操作説明及びダミーデータでの入力トレーニング
シミュレーションのスケジュール 2023年6月末:
 ダミーデータによるシミュレーション結果(DPPデータ表示方法)の完成
2023年9月末:
 リアルデータによるシミュレーション結果(DPPデータ表示方法)の完成
シミュレーション結果を踏まえた取り組み事項 日本におけるDPPの普及・導入に当たっての現場の運用を含めた課題感を確認し、必要な業界ルール、ICT・IoTソリューション、法整備などを議論する
参加企業 J-CEP内の参加希望企業 9社(5月17日時点)

サーキュライズ社および提供システムについて

サーキュライズ社は、DPPを含んだトレーサビリティシステムを提供する、2016年にオランダで設立された企業です。本システムは、ブロックチェーン技術とゼロ知識証明(*2)をベースに同社が独自開発した「Smart Questioning」技術により、製品の設計・仕様、加工条件、リサイクル履歴等の「トレーサビリティ関連情報」、カーボンフットプリントやリサイクル比率等の「資源効率を示すデータ」、企業のSDGs対応情報や第三者認証情報といった各種環境対応指標を、機密性を保ちながら選択的に開示することができます。サプライチェーンの透明化に貢献するこれらの技術が評価され、サーキュライズ社は、サーキュラーエコノミーを促進するソリューション提供企業として、2020年9月に欧州委員会より「EU Horizon 2020」(*3)対象企業に選出されました。

【サーキュライズ社 概要】

会社名 Circularise B.V.(サーキュライズ)
本社所在地 Wilhelmina van Pruisenweg 35, 2595 AN, Den Haag, Netherlands
設立 2016年7月
事業内容 トレーサビリティ管理プラットフォームの開発
ホームページ https://www.circularise.com/

230517_J-CEP.png画像:サーキュライズ社のシステムイメージ

3. 参画の狙い~アミタが目指すDPPの在り方~

現在規格化が進められているDPPの役割は、環境負荷に関する製品情報の可視化とトレーサビリティの確保です。一方でアミタが目指すDPPは、環境関連情報に加え、特定の製品や素材が人々の暮らしや社会に与える好影響=「社会的な価値」を証明する仕組みです。その実現に向けて、今回のシミュレーションに参画し、アミタが提供するMEGURU STATION®で回収された資源を原料とする、製品のDPP作成に取り組みます。

MEGURU STATION®では様々な社会的価値が生まれます(資源の持ち込みを通じた、互助共助の関係性の醸成や安心して暮らせるまちづくりの実現、外出頻度の増加による介護リスクの低減など)。これらの可視化されていない情報をデータ化し、製品のDPPに付加することで、生活者が商品を選ぶ際に「折角なら、自分の暮らす地域や社会に良いものを選ぼう」という社会的動機性に基づく購買活動や、企業が商品を生産・販売する際に、社会がより豊かになるビジネスモデルへの転換などを推進することができるとアミタは考えています。

DPPには、暮らしと企業活動を繋ぎ、作れば作るほど・売れば売るほど・消費すればするほど、自然や人々の暮らしを豊かにする可能性があります。アミタは上記構想の実現に向けて本実証に参画し、世界でも先進的なトレーサビリティ(DPP)システムの利用を通じて、情報の取り扱いや運用上の課題把握等に取り組みます。

(*1):持続可能な社会の実現を目指す企業等が、住民・行政・大学等と連携して、サーキュラーエコノミーの推進に取り組む新事業共創パートナーシップ
(*2):暗号学において、ある知識を持っていることを、その知識に関する何の情報も明らかにすることなく証明する手法
(*3):全欧州規模で実施される、研究および革新的開発を促進するための欧州研究・イノベーション枠組み計画 Framework Programme。2014-2020年にわたり約800億ユーロ(約10兆円)に上るEUからの公的資金が投入されている。

<広報・取材に関するお問い合わせについて>
アミタホールディングス株式会社 広報担当:駒井・古城
TEL:075-277-0795 / メール:press@amita-net.co.jp

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